初期短編集の復刊ということだが、毒性が強いうえにトンガリ具合が半端ない。
スタートの「風」からして表現力、発想力に圧倒される。
「人それぞれに噴火獣」や「舟唄」の心理描写は読んでいるほうにも
痛みを感じさせるかのよう。
これってよくあるパターンだなと読後に思った「丘の上の宴会」も、
そこにたどり着くまでに描かれる心理描写が皆川博子ならではの筆致。
面白いと書くのは躊躇われるが、どの作品も女性の心の闇やら残酷さがエグイ。
たとえそれが少女であっても、年を重ねた女性であっても読んでいて
ヒリヒリさせられる。
初期の作品集の中でもとりわけ奇想であり孕む狂気の強さに一気読みするには
かなりの精神力が必要な気がするが、もう少し冷めてくると再読したくなりそう。
徐々に美味しくなってきて、また飲みたくなってくる毒。
そんな作品集だ。
2020/4/8読了