著者:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
翻訳:三浦みどり
出版社:岩波書店
「同志少女よ、敵を撃て」の参考文献だったので読んだ。
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対ドイツ戦に参加した女性たちの証言を集めた記録で、
多くの人たちの生の声が突き刺さる。
読んでいる間、現実のウクライナの映像やニュースが現実と過去を曖昧にする。
そして証言に対する切実感がより増した気がする。
100万人にも及ぶ女性が看護婦や後方支援だけでは無く、
兵員としても志願して戦地に赴いたという現実と悲劇。
何が彼女たちを駆り立てたのか。
社会背景、政治体制によりある意味洗脳状態となっていたのかもしれないが、
家族を守るために戦地に赴く、戦地にいる家族に会う目的で志願するなど
純粋な気持ちがあったことも事実なのだろう。
にもかかわらず戦後、戦場に出た女性たちに向けられた偏見は
二重に彼女たちを傷つけていた。
それなのに。。。
ウクライナ人、ベラルーシ人、ロシア人らが同じ思いでドイツと戦い、
敵を憎みながらも敵味方関係なく助けていた人たちの証言と、
兄弟国同士で戦争を始めてしまった現実とのギャップには言葉が無い。
決して癒えない心の傷を抱えている人たちが大勢いるはずなのに、
この体験や思いがロシアで生かされなかったことが残念でならない。
ロシアとウクライナの戦いの大きな要因を作り出したことも否めない。
政治のリーダーたちの失敗は、いつでも一般国民を苦しめる。
兎にも角にも、何とか落としどころを見つけて解決してほしい。