吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

風配図 WIND ROSE

著者:皆川博子
出版社:河出書房新社


12世紀のバルト海交易を舞台に描かれる二人の少女の物語。

交易商として生きようとする二人に立ちはだかる地域間の争いや

階級による人間関係などが描かれる。

途中、戯曲形式で書かれたりするので戸惑うが、

慣れると自分の頭の中で舞台が動き出すように感じた。

半面、この部分をいつもの文体で書いてくれたら彼女たちの心情が

もう少し理解できるだろうし、より皆川節を楽しめたのではないかと思います。

著者の年齢を考えると、文章の簡略化を図ることができ、

なおかつ、ある程度読者に行間を委ねる戯曲形式は有りなのかな。

いずれにしても、いまだに精力的に新作を発信するエネルギーは凄いです。

とりあえずは新境地を開いたと解釈するとともに、

新作を読ませていただき光栄です。