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災害の日本近代史-大凶作、風水害、噴火、関東大震災と国際関係

著者:土田宏成 
出版社:中央公論新社


20世紀初期に起きた自然災害は日本のみならず世界中で起きていた。

災害の多い日本は海外から多くの援助を受け、海外による外交的意義に気付き、

徐々に海外に対する支援を他国同様政治化していくようになる。

かなりのページ数を関東大震災に割いているとおり、関東大震災から100年。

渋沢栄一が財界トップとして下手な政治家より活躍していたことが分かる。


関東大震災の章までに紹介された災害は本書にもあるように

関東大震災で印象が薄くなってしまったが、

時間の経過や阪神淡路大震災東日本大震災などで関東大震災の印象も

薄くなりつつある。

今後起きるといわれる南海トラフ地震が起きた時には

東日本大震災すら印象が薄くなってしまうのだろう。

震災を起因としたさまざまな問題を教訓に対策を練ることも大切だが、

他国がどのように動くのかも想定が必要なのかもしれない。


国際関係に主眼を置いていたため仕方がないのかもしれないが、

関東大震災によりフォーカスして掘り下げてほしかった。

また支援金等の金額の比較が当時の大卒初任給と比べるなど

今一つピンと来なかった。

当時の国家予算との比較や現在の金額に換算するなどがあれば

分かり易いと思うのだが。