司馬遼太郎の最初読んだ作品が、「花神」です。
主人公は司馬作品のなかでもとても地味な部類にはいる村田蔵六、のちの大村益次郎です。
確か中学生の頃だったと思いますがNHKの大河ドラマで放送されるとのことで、
事前に読み始めた記憶があります。
大河ドラマも”本気”で見たことは無かったのですが、多分その前に放送していた大河ドラマ
「風と雲と虹と」を少し見て歴史に興味が湧いたのだと思われます。
当時、単行本で4巻というのは、とてつもない出費だったのですが、
今考えるとむしろ安い買い物だったのかもしれません。
全く知識のない、中学生にとっては全く無名の人物が、とにかく魅力的に描かれていた。
この本で高杉晋作の大ファンになった。
幕末に興味を持った。
司馬遼太郎作品を読むようになった。
これだけの恩恵を与えてくれた本に投資したことは無駄ではなかったと思います。
読み終わる前に大河ドラマが始まったため、頭の中では、登場人物が役者の顔で
浮かんでくるようになってしまいましたが、役者は原作を裏切ることなく、
みんな演技がうまかったと思う。
原作と映像化したものって裏切られることが多いですからね。
ちなみに村田蔵六(中村梅之助)、高杉晋作(中村雅俊)、吉田松陰(篠田三郎)、
久坂玄瑞(志垣太郎)、井上聞多(東野英心)、伊藤俊輔(尾藤イサオ)、いね(浅丘ルリ子)、
おうの(秋吉久美子)という配役でしたが、今でも他の作品でこれらの人たちが出てくると、
全てそのときの役者の顔で浮かんできてしまうくらい印象的でした。
とにかく登場人物全てがとても魅力的だったのは、司馬遼太郎のすごさがあってこそなんだと思う。
司馬遼太郎の描き方って、どの作品でも結構さっぱりしていて好感度が上がってしまうんだよね。
悪者がいないっていうか。
明治維新は誰もが知っている傑物たちがいたからこそ成しえたことは確かでしょうが、
そこに「技術者」としての村田蔵六が加わっていなかったら、
多分成功しなかったのではないでしょうか。
娯楽作品としてのレベルも高いと思いますが、実はビジネス書として読むと、
違う面白さがあるのかもしれません。
読み返したい一冊です。
あ、四冊だった・・・