吉祥読本

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逆転―アメリカ支配下・沖縄の陪審裁判 --伊佐千尋

沖縄で米兵の問題がまた持ち上がり、騒ぎになっていますが、
沖縄でこの手の問題が起きるたびにこの本を思い出します。


以下「BOOK」データベースより引用

一九六四年、アメリ支配下の沖縄普天間で米兵殺傷事件が起きた。
容疑者は沖縄の青年四人。裁判の陪審員に選ばれた著者は、
沖縄人に重罪を課そうとするアメリカ等の陪審員が多数を占める陪審評議で、
ついに「逆転」を生じさせた。裁判のあり方をも考えさせる息づまる法廷ドキュメント。
大宅壮一ノンフィクション賞受賞。


陪審員として関わった伊佐千尋が事件について書いた作品です。
米軍による沖縄の占領という当時の状況がとても良くわかります。
裁判の経過はさすがに臨場感がある。
この手のニュースは「なぜか」詳しく伝わってこないから、今でも貴重な資料なのではないでしょうか。
沖縄で起きている問題の本質は、結局のところほとんど変わっていないように思います。


この本を読んだ当時は日本が陪審員制度(裁判員制度)に変わるなんて想像もできなかった。
個人的には未だにピンとこないし、制度の良し悪しの判断はわからないのですが、
勝手に決められた感じがして、その点は気持ちが悪い。
ほとんどの人が具体的に理解しているとは思えないので陪審員制度(裁判員制度
というものがどんなものか、時代背景を差し引いても参考になると思う。
(と言いながら詳細は覚えていない・・・読んだときの覚えている印象、感想ですので。。。。)


後日談として、伊佐自身が四人の青年の中の一人に訴えられたみたいですね。
プライバシーの侵害ということで。
発表当時、登場人物が実名で出版されたからなんですけど、(今は仮名で出版されてるそうです)
今も、いや今後も問題になるであろう「事件におけるプライバシーの有り方」という観点からも
再度、読み直す必要のある本なのかもしれない。


いつ読み直せるか、という最大の問題が目の前にあるのですが。。。