吉祥読本

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鴨川ホルモー --万城目学

ようやく文庫化です。気になっていたホルモーの意味がわかってスッキリしました。

 

森見さんの諸作品と比べると、言い回しが似ているところがあるし、キャラ設定も似通っています。
ただ森見さんのほうが深みがあるというか、バンカラ度が高いというか、濃密感があります。
比較をしてしまったからか、本作は期待値が高かったこともあり、さっぱりしすぎて多少もの足りなさを感じました。

 

説明はしないほうがいいと思いますので、以下は読んだ人しかわからない感想で申し訳ないです。


この作品の最大の山場は個人的に「吉田代替わりの儀」なんですけど、意表衝かれました。
脱力したというか。。
厳かに集まってそれかよっ、とは思うもののツボに入ってしまった。
でもあの儀式、若い人にわかるかなあ。。。わかんねえだろうな~
あの儀式で使われる歌は時代と共にアレンジされるのでしょうか。
あの歌を凌駕する歌が出てきたらとって替わるのかな?
千年続いてるってことになってるけど、そのあたりの設定は気にしちゃダメなんでしょうね。(そういえばあの曲は、映画「シコふんじゃった」でも使われてましたね)


そうそう、カラーの京都地図を掲載してくれたの助かります。森見作品でも地図をつけて欲しかった。
全体のストーリー展開としては面白くて好きです。設定とか、鬼語とかいい発想ですね。
ただ、実際のホルモーに至る流れは説明が多すぎて引っ張りすぎなのではないでしょうか。
肝心のホルモーに割かれるページも、もう少し欲しかった気がします。

あと主要人物以外のキャラがあまりたっていなかったのも残念。
どうせなら青竜会10人の名前を三国志に例えてくれれば嬉しかったのに。。。
特に早良の魅力があまりになく、なぜそこまで主人公が思い入れるのか、共感ができません。
高村も今ひとつキャラの弱さを感じたし、唯一、凡ちゃんこと楠木のキャラが冴えていて、ところどころクスリとさせられる場面は、ほぼ凡ちゃんが絡んでいるところでした。
勿論クライマックス(本当の山場です)にかけての硬軟絡めた凡ちゃんには、「いよっ、凡ちゃん!」と叫びたい気分です。青春、ってやつだねえ~

 

叫ぶと言えば色んなブロガーさんが「ホルモー」を叫びたくなると書いている中、誤解を恐れずに書きますが、むしろ私は「吉田代替わりの儀」に参加したいと思いました。
とりあえず踊るでしょ。
全てを投げうたなければ本物の一体感なんて得られませんて。(まじめに書くことじゃないか)

 

何はともあれ、京都には色んな人(イカキョーとか)や不思議な事がいっぱいあって
(あるような気がして、か)、羨ましいです。
ひととおり出てきた京都の神社、見てまわりたいと思いました。(いや、踊りませんから)