吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン --小路幸也

東京バンドワゴンの続編、ようやく読みましたぁ。
登場人物が多いので覚えているのかちょっと不安でしたが、案外覚えているものですねぇ。おかげでスラスラ読めました。
今回気付いたのですが「東京バンドワゴン」が正式店名は「東亰バンドワゴン」だったってこと。一作目からそうだったのか?東京じゃなくて東亰。
この字って見たこと無いけど、常識でしょ!って言われると悲しいのでここまで。と言いながらwikiにリンクしちゃいます。記事中で文字化けとかするかもしれませんからね。
亰 : http://ja.wiktionary.org/wiki/%E4%BA%B0

 

本題です。
今回はLOVEな我南人が前作よりも活躍度が上がっている気がします。
男らしいというか、大黒柱っぽいとこ出してるんじゃないかなぁ。
やるときゃやるよ~、って感じでしょうか。
息子が手に負えない時には息子以上のことやりゃいいなんてカッコいいんじゃない?いや待て、勘一もやるときゃやるってタイプだから、「血」なんですかねぇ。こんな元気いっぱい、かつ頑固なジイサンがいたらいいなぁ。
いやいや待て、研人もこの血を受け継いでるというか、小学生のくせに機転の利き具合が相当進化してる男と感じさせる。
幽霊騒動のときの頭の回転の速さ、フットワークのよさ、冷静な分析力はたいしたもの。ラストにもナイスアシスト。
それに比べて自分が小学生の時はな~んにも考えてなかったなあ、と妙なところで反省させられた。
と、男たちを褒めてばかりいるが、女性陣もなかなかのもの。
むしろ女性陣たちがしっかりしているからこそ彼らは好き勝手ができるのだ。
みんな魅力的なので目移りしそうです(笑)
そうそう、語り部の死んだおばあちゃん、サチさんも縦横無尽に動き回っていて前作より調子が出てきた感じです(笑)

 

それぞれが好き勝手やっているようで、大家族って人を育てるにはもってこいな環境なんだろうなと思います。誰かが見守っていてくれるだけで安心だし、小さな社会なんでしょうね。
昭和っぽい家族像だなあって思っていましたが、実はこれからは最先端の家族像として競って大家族主義に向かっていったりして(笑)
春夏秋冬、それぞれの話しは身近で小さい謎解きを絡ませながら進行しますが、
最終的にはキッチリと心地よい読後感を味わえます。
家族以外の登場人物もいい人、温かい人たちのオンパレードです。
藤島は完璧すぎですけど。ヤッカミかもしれません(笑)
家族も増え、ますます複雑化することが予測できる人間関係に追いつけるか改めて疑問が押し寄せてきますが、それでも次の作品「スタンド・バイ・ミー」も期待してしまうのでした。たまにはこんな本を読んで心を和ませることも大事ですね。


最後に勘一さんの心に残る台詞を。

 

「淋しいってよ、わんわん喚いたり暴れたりするのも、まぁ子供らしくていいけどよ。男の子はよ、やせ我慢ってものをしなきゃならねぇんだ。どんなに淋しくてもよ、辛くてもよ、自分一人で頑張るんだっていうやせ我慢ってやつをよ、
覚えなきゃあならねぇんだよ」


サチさんのサイドストーリーの新刊本も出るようですね。もう出ているのかな?「マイ・ブルー・ヘブン」。楽しみがもうひとつできたのはいいのですが、文庫までの道は遠いねぇ。