吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

鍵穴ラビリンス --江坂遊

「BOOK」データベースより引用
ご存知ですか?物語は圧縮すると結晶になるのです。ここに収められたのは56の短い物語。一つ一つは小さく、だけど、それぞれがキラキラ輝いています。ほら、鍵穴からそっとのぞくと、そこには目もくらむラビリンスが!伝説のショートショート作家・星新一氏の遺志を継ぐ、稀代の異才・江坂遊の新作ノベルスついに登場。


江坂さん三冊目です。昨年の12月終盤から読み始め、4月の終盤までかけて読みました。56編掲載なので気が向いた時に1作品読んだりしばらく読まなかったりのんびりと(笑)正直なことを言うと今までの2作品に比べると物足りなさを感じました。。。残念。

 

ただし、江坂さんのチャレンジ精神には感服しています。
引用した紹介に「物語は圧縮すると結晶になる」とあるように通常ではありえないような作品もあります。
例えばいくらショートショートとはいえ、極端すぎる短さの2編は、なんと「1行」と「1行半」の作品だったりします。
面白いか?というと微妙なのですが(笑)、その心意気にエールを送りたくなります。
それ以外の作品も星新一さんの弟子とはいえ、星さんとは明らかに違う独特の江坂ワールドっぷりに追いつけない作品も多数あります(苦笑)
この人は一体どんな感覚を持っているのだろう、といくら考えても掴めません。
そしてなぜか憎めません。
読んでいるとジワリと効いてくるボディブローもあるので侮れません。
ただ、江坂さんを読んだことがない人が最初にこれを読んだらきっと途中で読むのやめてしまいそうな気がします。
短いけどアクが強い。独特すぎる(笑)
あとがきにかえて、として「エッサカ、ホイ」という作品が最後に収録されています。
これは星新一さんと江坂遊さんとの関係がよくわかる、心温まる、なんとも江坂さんらしい作品で大好きです。

 

全体にもう少し長いショートショート(笑)のほうが江坂さんの良さがでるような気がします。でもでも、これからも応援していきたいと思います。