吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

怪しいシンドバッド --高野秀行

インド、アフリカ、タイ・ビルマ、中国、コロンビアなど、19歳~29歳までに高野氏が秘境、辺境に
出かけた際に起きた(起こした?)数々のエピソードをまとめたような作品です。
既読作品もあるのですが未読作品に関係する内容も書かれているので読まないと。

 

若い時の行動というのは今考えると自分でも寒気がするくらい場当たり的で適当だったとは思うが
高野氏の行動に比べれば、自分だってもう少し考えていたぞ!と思わせてくれる。
フットワークがいい、と言えば聞こえはいいが、むしろ軽すぎて阿呆過ぎて呆れるばかりだ。
本来ならば命を失っていてもおかしくない場面に遭遇しても人柄なのか強運の持ち主なのか
ヘラヘラとその場を凌いでしまうのは一種の才能なのだろう。

 

で、その行動力は凄い!と思わせるだけで、決して真似をしたいと思わせないところが高野氏らしい。
沢木耕太郎に影響を受けてバックパッカーとして世界に出た人の話しは良く聞くが、
決してそんな影響力を行使しないところはむしろ感心する。
(と、言いながら若いときに読んだら影響されたかも 笑)

 

でも、なんとなく羨ましいと思う。子供の頃の思い立ったら行動する猪突猛進な時代が懐かしくなる。
大人としてどうよ、と思いながらあんな冒険をしたいという気持ちは捨てきれない。
その身代わりをしてくれているんだと思うと、やはり応援したくなる。

 

エピソードを集めているので色んな阿呆な場面がさらりと読める。
個人的には中国での行動が一番印象的だ。中国は広いんだなあ、色んな人がいるんだなあ、
そして面白そうな国だなあ、と思わせてくれた。

 

行き詰まってる時や気分が重いときに読むと、少し力が抜くことができるような内容でした。