小学生の時の忘れていた同級生や先生や様々な情景を浮かべながら読んだ。
ぼんやり何も考えずに生きていた気がしていたが、
よく考えるととても小さな世界のなかで必死に生きていたんだなあ、
と思い直す。
今までメッセージ性の高い作品に関しては小難しい言い回しや設定が多く、
伝わりにくくて損をしていたものもあったと思うが、
本作は主要登場人物が小学生のため、メッセージが伝わりやすかったと思う。
むしろ簡単な言葉に落とし込むことに成功したのは20年の蓄積の成果であることは
間違いない。
子供の頃を振り返ることで、自分自身で考えることの大切さを思い起こさせてくれる。
さりげなく不意に目頭を熱くするような状況やセリフに
伊坂幸太郎らしさが溢れている。
どの作品にもジンと来るものがあるが、唯一それを感じなかった
「アンスポーツマンライク」を「逆ワシントン」を読み終わった直後に読み直すと、
なんだよ、ジーンとくるじゃねえか。
とにかく読後感は間違いなく良い。
今が読み時。
2020/5/3読了