題名と表紙を見ただけで買いだと思いました。
対象は小学校4年生向けに書かれたものですが、十分面白い。
いや大人こそ読むべきだと思う。
子供には子供の世界があるのは当然で、それは子供にしかわからない。
かつて子供だったはずの大人にも、もうわからない。
だから子供たちは自分ではどうすることもできない環境の変化の中で、
様々な問題を自分たちの手で、自分たちで考えながら解決していくしかない。
小学生らしい照れくささ、せつなさがよく表現されている。
いじめの話しもでてくるが、「ナイフ」に出てくるようなシビアなものではない。
でも、小学生にとっては大きな問題である。
いじめたり、いじめられたり、そのハザマで必死に戦わなければならない。
少し大人びた「くちぶえ番長」はそんな問題をサラッと爽快に解決してしまう。
大人ですらこんな爽快に解決などできないというのに。
思い出を少々。
小学生低学年のとき、いじめられたことがある。相手は一人だがつらい2年間が続いた。
小学生中学年のとき、開放され、多くの友達ができ、楽しくなりはじめた。
小学生高学年でクラスでいじめられている子を、周りと一緒にからかったことがある。
自分もつらい経験があったのに、ひどいいじめではないけど、助けもしなかった。
同時に、かつて自分をいじめていたいじめっ子とすれ違うとなんとなく嫌な思いをしていた。
きっといじめられている子も、ずっと嫌な記憶を持ち続けるだろうと思い、
とにかく人をからかうのをやめた。
それで何かが変わったのかは、わからない。
中学に入学したとき、同じ中学に入っていたいじめっ子に、
すれ違いざま、肩をポンとたたいて笑顔で「ヨッ」と声をかけていた。
自分でも無意識に、そしてその自然さにびっくりしながら。
どうしてそんなことをしたのか、わからない。
照れた笑顔を返してきた。
いまでもそのシーンは鮮明に残っている。
ちょっとまじめに書きすぎたけど、とても楽しく、そして感動させてくれたこの本を
読むことができて良かった。