吉祥読本

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死神の精度 --伊坂幸太郎

題名を見ればわかるとおり、そのまま主人公は死神です。短編です。
短編とは言え、そこは伊坂幸太郎ですからちょっとしたつながりは微妙にあります。
まあそれはおまけみたいな楽しみ方でもあるのですが。

それぞれの話しの終わり方はやけにあっさりしています。あっさりしすぎかもしれません。
死神が主人公ですから、当然「死」にまつわる展開になるのですが重さがありません。
死に対する考え方のひとつ、を提示されているんだろうなと思いますが、
読後には爽やかで暖かい気持ちにさせられます。

どの話しがいいかと聞かれればこれかなあ、という答えはあるのですが、
最初から順番に読むと最終的にはひとつの作品として捉えられる感じがします。

あいかわらず面白いキャラクターがでてきますね。伊坂作品っぽいです。
まず、死神のキャラクターがいいなあ。
「ミュージック」好きの雨男で、どこかズレている死神。
こんなキャラクター設定を良く思いつくものだと感心します。
お婆さんもいい味出してます。

映画の宣伝がチラホラ流れ始めてますが、読んでいると映像が浮かびやすい話しばかりなので、
映画化されたのは当然かもしれないですね。
ただ、その分読者のイメージが邪魔をして映画が面白く感じるかはちょっと疑問です。

ちなみに今まで何本か映画化されている伊坂作品を、私は一本も観ていません。
興味はあるのですが、どうなのでしょう?