吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

【さ行】の作家

文壇アイドル論 --斎藤美奈子

80年代前後に頭角を現した作家たちを取り上げ、当時の評論家たちの言葉を引用しながら「作家論」論を展開している作品です。村上春樹、俵万智、吉本ばなな、林真理子、上野千鶴子、立花隆、村上龍、田中康夫が取り上げられています。 最近は評論家の書いた本…

無名 --沢木耕太郎

「BOOK」データベースより引用一合の酒と一冊の本があれば、それが最高の贅沢。そんな父が、ある夏の終わりに脳の出血のため入院した。混濁してゆく意識、肺炎の併発、抗生物質の投与、そして在宅看護。病床の父を見守りながら、息子は無数の記憶を掘り起こ…

信長|イノチガケ --坂口安吾

「イノチガケ」「島原の乱雑記」「鉄砲」という短編と「信長」という長編の4編が収められています。 「BOOK」データベースより引用「死のうは一定」―姑息因循な“時代”の壁を蹴破り、闊達自在の“自由”を生きた、先駆する“近代”織田信長。天下周知の笑い者が…

少女には向かない職業 --桜庭一樹

少女には向かない職業 --桜庭一樹 桜庭一樹の初読です。「赤朽葉家の伝説」を読みたいがために、とりあえずここから始めました。 本書より引用 あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した・・・・・・あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かな…

熱球 --重松清

高校野球をやっている期間中に間に合うようにようやく積んであった本作を読了しました。中継は見ていないのですが、選手の皆さんも応援している皆さんも暑い中、頑張ってください! 「BOOK」データベースより)20年前、町中が甲子園の夢に燃えていた。夢が壊…

東京バンドワゴン --小路幸也

小路幸也さん初読みです。本書は、 「あの頃、たくさんの涙と笑いをお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ、」 と言う言葉で締められているように、昭和の大家族ドラマへのオマージュと考えていいでしょう。寺内貫太郎とか時間ですよなどを見ていた人には懐…

巨いなる企て(上、下) --堺屋太一

もともと石田三成という人を好きだったわけではないのですが、この作品を読んで石田三成に好感を持った事は確かです・・・今も好きかというのは別にして(笑) 「反逆」は信長から秀吉に代わる頃の話し、「のぼうの城」は秀吉が天下をほぼ手中にしたころの話…

さ行の作家

【さ】●最相葉月星新一 一〇〇一話をつくった人星新一空想工房へようこそ絶対音感/セラピスト/なんといふ空●斎藤貴男民意のつくられかた●斎藤美奈子文壇アイドル論読者は踊る●堺屋太一巨いなる企て三人の二代目●坂口安吾信長|イノチガケ道鏡・家康●佐木隆三…

ナイフ --重松清

初めて読んだ重松清の作品です。買う際にざっと確認したのですが、こんなに重いストーリーだったとは・・・というのが印象でした。5本の短編なのですが、ほとんどがいじめに関する内容。今のいじめの雰囲気がやけに明確に描かれている。子供にも大人にも、ど…

流星ワゴン --重松清

冊数は少ないですが、それまで私が読んだ重松作品とはタイプの違うものでした。非現実的な状況設定ではあるのですが、それはただの装置にしかすぎず、内容はとてもリアルな感情が表現されていたのではないでしょうか。38歳は既に通り過ぎた私は同年代扱いに…

テロルの決算 --沢木耕太郎

今久しぶりに本書を手にとって見て、こんなに薄かったっけ?と思ってしまいました。勿論ページ数はそれなりにあるのですが、印象としてはもっと厚い本だったような気がしていました。そんな錯覚をするくらい色々なものが詰め込まれた本だったんだなあ。1960…

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 --塩野七生

まずは、題名がいいよねって思っているのですが・・・昔の話しで恐縮ですが(というか昔の話ばかりしてますが)、中学生のときって「中三時代」「中三コース」とかの本があったでしょ?今もあるのか知らないけど。何年生だったか覚えてないし、題名も忘れた…

世に棲む日日(1-4) --司馬遼太郎

「花神」をきっかけに好きになった高杉晋作を決定的に好きになったのは本作のおかげです。4巻セットですがあっという間に読み終わった記憶があります。幕末にはキラ星のごとく魅力的な人物が現れますが、私にとってこの人以上のヒーローはいません。吉田松陰…

星新一 一〇〇一話をつくった人 --最相葉月

「子供のころはよく、本を読みながらその場からいなくなることができたんですが、星さんの本はそんな一冊だった。」新井素子の言葉に同感。本作は「人民は弱し 官吏は強し」で書かれた星新一の受難を、膨大な資料を基に別の角度から照らし出していた。SF界の…

花神 --司馬遼太郎

司馬遼太郎の最初読んだ作品が、「花神」です。主人公は司馬作品のなかでもとても地味な部類にはいる村田蔵六、のちの大村益次郎です。確か中学生の頃だったと思いますがNHKの大河ドラマで放送されるとのことで、事前に読み始めた記憶があります。大河ドラマ…

カシアス --沢木耕太郎(著) 内藤利朗(写真)

しばらく離れていた「彼ら」に再会できた。それなりに長く生きていると、色々なことがあるものだ。挫折や病気や出会いや別れ・・・さらっと沢木耕太郎は書いているけど、大変だったんだね。だけど、まだまだあきらめていないんだよね。あきらめるには早すぎ…

くちぶえ番長 --重松清

題名と表紙を見ただけで買いだと思いました。対象は小学校4年生向けに書かれたものですが、十分面白い。いや大人こそ読むべきだと思う。子供には子供の世界があるのは当然で、それは子供にしかわからない。かつて子供だったはずの大人にも、もうわからない。…

一瞬の夏 --沢木耕太郎

ニュージャナリズムという言葉をすっかり聞かなくなったが、今はなんと言うのだろうか。乱暴な定義だが、ノンフィクションという分野は事実を客観的に、多角的な視点で調査し、インタビューしながら作り上げるものだが、「クレイになれなかった男」(「敗れ…