吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2007-01-01から1年間の記事一覧

ESQUIRE COVERS 1933-2006

アメリカ版 「エスクァイア」 全表紙896エスクァイアが日本版を創刊してから20年も経つんですね。それを記念して出た本書は、読むより、見るものです。ちょっとした解説や、こぼれ話が書いてあるんだけど、結構興味深い話しがいくつもあって面白い。雑誌自体…

あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと --印南敦史

なんていうか、懐かしくもあり、気恥ずかしくもあり・・・馬鹿っぽくて、ポジティブで何をやっていても怖いもの知らずでノーテンキな時代の代表がディスコだった。本書は著者が自分の当時のディスコ体験、思い出となどのエッセイと共に、当時はやっていたデ…

最後の共和国 --石川達三

第1回の芥川賞は、石川達三が「蒼茫」で受賞している。「社会派」と言われるだけあって多くの問題作を世に出している。「風にそよぐ葦」「生きている兵隊」「人間の壁」なども読んだ。確かにこれらは評価の高い作品なのだろう。が、読んだのが高校生の頃から…

砂の女 --安部公房

この本に出会ったのは高校生時代だったが、読みやすく、面白かった。おかげで安部公房にはまってしまったが、いずれの作品も不思議ワールド全開という感じである。砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂砂…

聴診器かよっ!!

最近びっくりしたのが、本屋で聴診器を売っていたことかな。その名も「聴診器ブック」。思わず手にとって、しげしげと見てしまった。メタボリックや子供の健康が気になる人に、なんて書いてあるのでちょっと触手が動いたのだが、聴診器を本屋さんで買っても…

カバーをかけますか?

最近、本を買うと、「カバーをかけますか?」と聞かれることが多くなった。エコを考えると「結構です」と言わなければいけないかも、とは思うのだが勝手ながらこちらにも事情がある。未読本はカバーがかかっていて、読み終わるとカバーをはずす、ということ…

空白の天気図 --柳田邦男

ノンフィクションを読むようになったのは、柳田邦男がきっかけだった。小学生のとき、パイロットになりたいと漠然と考えていたせいか、中学生になっても航空機の雑誌などを定期的に読んでいた。その雑誌中に、世界で起きていた航空事故の概要が載っているコ…

バー・ラジオのカクテルブック

先日、テレビで幻冬舎の見城徹氏が「バー・ラジオ」で尾崎氏と話している映像が流れていたのを見かけた。尾崎氏はだいぶお年を召していたが、まだまだ元気そうだった。バー・ラジオのカクテルブックはサラリーマンの頃、気分を変えるときにちょっと手に取っ…

日本の海水魚

スノーケリングを始めて7~8年になります。ほとんど同じ場所です。でも全然飽きません。毎回新しい発見があります。普段の忙しさなど忘れてしまうくらい楽しいものです。小さいけど熱帯魚の群れ、キビナゴの大群、ハコフグやイカ、ヒトデやウツボやウミウシ…

コインロッカーベイビーズ --村上龍

正直なところ村上龍の作品は、ほとんど読んでいると思うが、期待はずれのもののほうが多い。「限りなく透明に近いブルー」はドラッグで見る妄想みたいなものだし、グロい。吐き気がする本は初めてだった。「海の向こうで戦争が始まる」は抽象的なイメージが…

たった一人の反乱 --丸谷才一

「ボートの三人男―犬は勘定に入れません」(ジェローム・K・ジェローム)へオマージュを捧げている「犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」(コニー・ウィリス)を2年前くらいに読んだ。「ボートの三人男」は読んでいないので、機…

ボッコちゃん --星新一

星新一の発想力は並大抵なものではない。登場人物の特徴や情報を徹底的にシンプルにすることで今でも古さを感じさせない。そして、現在の社会にそのままあてはまる風刺、ブラックユーモアが満載である。星新一の自選短編集の「ボッコちゃん」はその中でもダ…

ベルカ、吠えないのか? --古川日出男

何だか面白い本を読んでしまった。こんな読後感でした。不思議な語りかけ風な文体は最初違和感があったが、それが効果をかもし出しているのでしょう。慣れればむしろ、その潔さが気持ちいい。感情移入がほとんどなく、さばさばと進んでいる感じとかもよし。…

包帯クラブ --天童荒太

タイミング的には、映画の公開に合わせているような感じになってしまうので後回しにしようかと思ったけど自分の決めた順番にできるだけ合わせたいので仕方ないか。私が重松清の「くちぶえ番長」の項で書いた文章を引用します。>子供には子供の世界があるのは…

広島に原爆を落とす日 --つかこうへい

つかこうへいの描く、ひねくれた、不器用な愛情物語はとても好きです。熱海殺人事件、飛龍伝、蒲田行進曲、寝取られ宗介、幕末純情伝、長島茂雄殺人事件・・・どれもこれも愛すべき人物がとんでもない愛情を振りまいています。その中で、ある意味究極の愛情…

さようなら、ギャングたち --高橋源一郎

この本と出会ってから20年ぐらい経った。今でも六本木の地下にあった本屋で平積みされていたこの本を引き寄せられるように手に取り、買ったのを覚えている。一日3時間眠れればラッキーだったころ、睡眠時間をさらに削って読んだ。読了後、「今年一番面白い本…

くちぶえ番長 --重松清

題名と表紙を見ただけで買いだと思いました。対象は小学校4年生向けに書かれたものですが、十分面白い。いや大人こそ読むべきだと思う。子供には子供の世界があるのは当然で、それは子供にしかわからない。かつて子供だったはずの大人にも、もうわからない。…

一瞬の夏 --沢木耕太郎

ニュージャナリズムという言葉をすっかり聞かなくなったが、今はなんと言うのだろうか。乱暴な定義だが、ノンフィクションという分野は事実を客観的に、多角的な視点で調査し、インタビューしながら作り上げるものだが、「クレイになれなかった男」(「敗れ…

怪物がめざめる夜 --小林信彦

小林信彦の作品との出会いはとても古い。人生で一番最初にはまった作家だと思う。子供のころ夢中で読んだ「オヨヨ」シリーズは、残念ながら手元に見当たらない。友達から借りたのか、図書館で借りたのか、今では記憶が定かではないが、軽妙な展開がとても魅…

ゲルニカ1984年 --栗本薫

栗本薫の作品はずいぶん前に数冊読んだけど、なぜかSFは一冊も読んでいない。この作品はいったいどんな分野に振り分けていいものか難しいが、読んだ後になんともいえない気分になったことを覚えている。表面的には平和な日本が実は世界大戦の只中にいて、誰…

CF愚連隊 --喜多嶋隆

昔の話だけど、CM制作業界にいたことがあって、そのころに読んだ本で思い出深い作品です。登場人物たちの自由さや、一瞬にかけるプロフェッショナルな仕事ぶりは憧れだった。実際はこんなカッコイイ仕事ではないけど、こうでありたい、という気持ちは持って…

ラジオが泣いた夜 --片岡義男

本作は短編集で、内容だけではなく、題名が一番好きだなという感じでセレクトしました。話しのどこかでラジオがキーポイントになっている。乾いた印象の文体というか言い回しというか、独特の雰囲気がある。片岡義男の作品を読んでいたときに浮かぶイメージ…

上と外(1~6) --恩田陸

六巻に分かれているけど各巻それぞれが薄いのであっという間に読めた。一巻にまとめればいいのにと買ったときは思ったけど、手軽に読めてむしろこれで良かったのかもしれない。全巻まとめて買っておいて正解でした。展開が早くて冒険活劇とでも表現すればい…

食卓のない家 --円地文子

1970年代、過激派の活動が活発なころの話で、浅間山荘の事件が基になっている。事件の犯人とその家族の葛藤や日本政府の対応など、時代背景が違ってはいるが現在かかえる社会の問題と何も変わりは無い。むしろ、事件を起こした犯人の親の考え方は当時よりも…

アキラ! 加藤明・南米バレーボールに捧げた一生 --上前淳一郎

ノンフィクションを読む機会が最近すっかり減っているけど、本当はノンフィクションは好きでよく読んでいました。上前淳一郎の切り込む内容は世相を反映した事件や大事故を主題にした問題作が多かったのですが、これが一番印象的です。最近、ペルーの女子バ…

アヒルと鴨のコインロッカー --伊坂幸太郎

とりあえず全ての作品を読み終えましたが、伊坂作品ではこれが一番好きかな。まあ、僅差で他のいくつかの作品と悩んだんだけど、それはまた後日書きます。伊坂作品の中では「仕掛け」が少ない感じがするけど、最後に「そう来たか」という感じで、哀しくもあ…

ナポレオン狂--阿刀田高

心に残っている本を掘り起こして、簡単な感想を書いていきます。実は本の整理をするのが目的なので、たいした感想は書かずに気長に掘り起こします。ということで、阿刀田高を一発目に持ってきたのですが、単純に「あ」から始めようと思っただけです。手持ち…