吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2009-01-01から1年間の記事一覧

きつねのはなし --森見登美彦

新潮社Webサイトより引用「知り合いから妙なケモノをもらってね」籠の中で何かが身じろぎする気配がした。古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やが…

渚にて --ネビル・シュート

題名こそ知っていたもののずっと読まずに来ました。最近、新訳版が出たし、表紙には潜水艦。深海の話しだったっけ?と購入。潜水艦こそ出てきますが全然違います。 ソ連と中国がきっかけで、第三次世界大戦が勃発し、世界各地で核爆弾の応酬となる。結果、北…

鯨の王 --藤崎慎吾

文藝春秋Webサイトより引用小笠原諸島の深海で巨大鯨の骨が発見された途端、盗まれる。未知の鯨の可能性を指摘していたアル中の鯨類学者に、米バイオ企業から調査の依頼がくる。同じ頃マリアナ海域で米海軍攻撃型原潜(SSN)が襲われ、乗組員半数が変死を…

海竜めざめる --ジョン・ウィンダム

ジョン・ウィンダム + 星新一(訳) + 長新太(イラスト) の組み合わせである。これだけで買いである。ちなみにこのシリーズを監修しているのが大森望。見事な仕事だなあ。もともと星新一さんが訳したバージョンが存在していたのですが、別途子供向けのシリ…

海底二万里(上・下) --ジュール・ヴェルヌ

約二年程前、岩波文庫が新訳版を出版した際に入手していたものだったのですが、ようやく機会が到来しました。子供の頃に読んだきりで再読したいなあって思っていたもので。 だいぶ忘れていましたが、子供の頃に植えつけられたイメージはヴェルヌの力量の凄さ…

マラコット深海 --コナン・ドイル

東京創元社Webサイトより引用大西洋の深海調査に出発したストラッドフォード号は突然、消息を絶ってしまった。しかし遭難したと思われた乗組員たちは驚異の新世界を目撃して生還した。八千年の昔、人知をきわめた文明を誇る大陸が大西洋の底深く陥没し、その…

猫の客 --平出隆

「BOOK」データベースより引用はじめ“稲妻小路”の光の中に姿を現したその猫は、隣家の飼猫となった後、庭を通ってわが家を訪れるようになる。いとおしく愛くるしい小さな訪問客との交情。しかし別れは突然、理不尽な形で訪れる。崩壊しつつある世界の片隅で…

ボン書店の幻 --内堀弘

「BOOK」データベースより引用1930年代、自分で活字を組み、印刷をし、好きな本を刊行していた小さな小さな出版社があった。著者の顔ぶれはモダニズム詩の中心的人物北園克衛、春山行夫、安西冬衛ら。いま、その出版社ボン書店の記録はない、送り出された瀟…

青の炎 --貴志祐介

この作品はかなり評判が良かったようですね。非常に書きにくいのですが期待が高すぎたせいか、辛口気味です。ミステリーっぽい印象を受けなかったのですが、とりあえずは思ったままをつらつらと。読んでいて感じた印象は全体的に会話が古臭いなあ、ってこと…

神無き月十番目の夜 --飯嶋和一

「BOOK」データベースより引用慶長七年(一六〇二)陰暦十月、常陸国北限、小生瀬の地に派遣された大藤嘉衛門は、野戦場の臭気が辺りに漂う中、百軒余りの家々から三百名以上の住民が消えるという奇怪な光景を目の当たりにする。いったいこの地で何が起きたの…

百年の誤読 --岡野宏文、豊崎由美

「BOOK」データベースより引用稀代の本読み2人が、20世紀100年間のベストセラーを読みつくす!徳冨蘆花の『不如帰』や与謝野晶子『みだれ髪』から始まり、渡辺淳一の『失楽園』、五木寛之の『大河の一滴』まで。明治・大正の文豪から昭和の重鎮までを、俎上に…

トリフィド時代 --ジョン・ウィンダム

ジョン・ウィンダムの「海竜めざめる」を読もうかと思っていたのですが、順序としてはまずこちらを読んでおくべきかな、ということで読みました。 物語の舞台はイギリス。ある日、大流星群が地球を覆うように通過する。流星群を目撃した世界中の人たちが視力…

西瓜糖の日々 --リチャード・ブローティガン

「BOOK」データベースより引用コミューン的な場所、アイデス“iDeath”と“忘れられた世界”、そして私たちとおんなじ言葉を話すことができる虎たち。西瓜糖の甘くて残酷な世界が夢見る幸福とは何だろうか…。澄明で静かな西瓜糖世界の人々の平和・愛・暴力・流血…

アンドロイドは電気羊の夢を見るか --フィリップ・K・ディック

本作は遠い昔(多分、十代だと)読んだきりで、再読用に数年前から積んでおいたものです。これを原作に制作された映画「ブレードランナー」は好きな作品でしたが、原作とのつながりは感じられない別物でした。 昔読んだ時の印象は、「地球に紛れ込んだ、人間…

果つる底なき --池井戸潤

「BOOK」データベースより引用「これは貸しだからな」。謎の言葉を残して、債権回収担当の銀行員・坂本が死んだ。死因はアレルギー性ショック。彼の妻・曜子は、かつて伊木の恋人だった…。坂本のため、曜子のため、そして何かを失いかけている自分のため、伊…

肝、焼ける --朝倉かすみ

「BOOK」データベースより引用歳下で遠距離恋愛中の彼氏に会うために、こっそり訪れた稚内。地元の人たちの不思議なパワーのおかげで、もやもやした気持ちが変化していく。「肝、焼ける」―激しいじれったさを表す方言が、真穂子を新たなステップに駆り立てた…

黒冷水 --羽田圭介

「BOOK」データベースより引用兄の部屋を偏執的にアサる弟と、罠を仕掛けて執拗に報復する兄。兄弟の果てしない憎しみは、どこから生まれ、どこまでエスカレートしていくのか?出口を失い暴走する憎悪の「黒冷水」を、スピード感溢れる文体で描ききり、選考委…

風に舞いあがるビニールシート --森絵都

「BOOK」データベースより引用才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり…。自分だけの価値観を守り、お金よりも大切な何かのために…

琥珀捕り --キアラン・カーソン

「BOOK」データベースより引用ローマの詩人オウィディウスが描いたギリシア・ローマ神話世界の奇譚『変身物語』、ケルト装飾写本の永久機関めいた文様の迷宮、中世キリスト教聖人伝、アイルランドの民話、フェルメールの絵の読解とその贋作者の運命、顕微鏡…

鍵穴ラビリンス --江坂遊

「BOOK」データベースより引用ご存知ですか?物語は圧縮すると結晶になるのです。ここに収められたのは56の短い物語。一つ一つは小さく、だけど、それぞれがキラキラ輝いています。ほら、鍵穴からそっとのぞくと、そこには目もくらむラビリンスが!伝説のショ…

雷電本紀と竹光侍

先日、雷電本紀の感想を書いた際に、「竹光侍」のような描写で松本大洋さんがこの作品を漫画化したらピッタリなのではないか、と書きました。その後「竹光侍」の最新刊が出たので読んだのですがビックリしました。なんと雷電と柏戸の相撲シーンがワンカット…

鎌倉と突然の・・・

ゴールデンウィークはブログも完全休養してゆっくりと過ごす事に専念しました。しかし遠出は出来なかったのでいつもの通り鎌倉へでかけました。北鎌倉を起点にまず腹を満たすべく開店前の「去来庵」へ。既に数組が並んでいる。いつものようにビーフシチュー…

海の底 --有川浩

「空の中」に続き、ようやく2冊目です。実は既に「塩の街」は勇気を出して古本屋さんで購入済みだったのですが積んだまま「海の底」を先に読んじゃいました。 「空の中」に比べ全体の展開が賑やかです。横須賀の米軍基地で行われていた桜祭りを突如巨大な甲…

雷電本紀 --飯嶋和一

相撲に関する小説やノンフィクションは読んだ記憶がなく、相撲もので思い出すのは、さだやす圭さんの「ああ播磨灘」という漫画と周防監督の映画「シコふんじゃった」くらいでしょうか。相撲のシーンを小説で読んでも面白くないと思ってましたが、なんてこと…

シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン --小路幸也

東京バンドワゴンの続編、ようやく読みましたぁ。登場人物が多いので覚えているのかちょっと不安でしたが、案外覚えているものですねぇ。おかげでスラスラ読めました。今回気付いたのですが「東京バンドワゴン」が正式店名は「東亰バンドワゴン」だったって…

吉原手引草 --松井今朝子

「BOOK」データベースより引用廓遊びを知り尽くしたお大尽を相手に一歩も引かず、本気にさせた若き花魁葛城。十年に一度、五丁町一を謳われ全盛を誇ったそのとき、葛城の姿が忽然と消えた。一体何が起こったのか?失踪事件の謎を追いながら、吉原そのものを鮮…

黒い家 --貴志祐介

第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。 ようやく、貴志さんでビューです。 主人公の若槻は保険金の支払い査定という業務を行っているのだが、作者自身、保険会社に勤めていただけあって内情がかなり詳細に書き込まれています。ストーリーは若槻の日常業務を綴…

サウンドトラック(上下) --古川日出男

「BOOK」データベースより引用東京は異常な街に変貌していた。ヒートアイランド現象によって熱帯と化し、スコールが降りそそぐ。外国人が急増し、彼らに対する排斥運動も激化していた。そんな街に戻ってきた青年トウタと中学生ヒツジコ。ふたりは幼いころ海…

少女七竈と七人の可愛そうな大人 --桜庭一樹

ここのところ次々と桜庭作品が文庫化されている気がする。「赤朽葉家の伝説」の出る日も近いか?おかげでなかなか先にすすめないでいるが、この作品は「赤朽葉家の伝説」を読む前に読んでおいて良かったのかもしれない。(でも早く読みたい赤朽葉家) 「BOOK…

オレたちバブル入行組 --池井戸潤

「BOOK」データベースより引用大手銀行にバブル期に入行して、今は大阪西支店融資課長の半沢。支店長命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産した。すべての責任を押しつけようと暗躍する支店長。四面楚歌の半沢には債権回収しかない。夢多かりし新人…