吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2019-01-01から1年間の記事一覧

家康謀殺

著者:伊東潤出版社: KADOKAWA 裏切ったり裏切られたりを繰り返して敵味方がわかりにくい戦国時代だが、大義のため、信念のため、矜持のため、世話になった人のため等々、自分の欲望や生き残るために裏切るのではなく、自らの死をもって裏切る選択をした人が…

プリンスと日本 4EVER IN MY LIFE

監修:CROSSBEAT編集部、TUNA 出版社: シンコーミュージック プリンスの訃報に接してから約3年。今でも実感は無い。80年代から存在する日本のファンクラブや、プリンスとかかわりのあった人たちのインタビューは愛情が感じられた。関係者じゃないとわからな…

月人壮士(つきひとおとこ)

著者:澤田瞳子出版社:中央公論新社 螺旋プロジェクト3冊目。プロジェクトの土台となる山族と海族の対立は天皇家と藤原氏に置き換えられていたが今までの中では控え目な扱い。人名の読み方が面倒なうえ、家系図をたびたび確認するためテンポよく読めず、時…

世にも危険な医療の世界史

著者:リディア・ケイン/ネイト・ピーダーセン翻訳: 福井久美子出版社:文藝春秋 実際こんなことがあったのだろうか?と現代から考えると驚愕の療法がこれでもかと紹介されている。面白おかしく皮肉を込めた文体がよりインチキ感を煽るが、意図的なインチ…

金剛の塔

著者:木下昌輝出版社:徳間書店 木下さんが少しだけとはいえ現代を描いたのは初めてではないでしょうか。ちょっと新鮮でした。 地震で倒壊したことがない五重塔の歴史と建築にかかわる職人たちの様を、時代を超えて描いている。昨年、森美術館で「建築の日…

最初の悪い男

著者:ミランダ・ジュライ翻訳:岸本佐知子 出版社:新潮社 43歳独身のシェリルと20歳の巨乳で足の臭い上司の娘、クリーの共同生活は過激で噛み合わず、どう展開するのだろう。 その一点の興味だけで最後まで読み切った。ほぼ妄想だらけで何事においても痛い…

生まれ変わり

著者:ケン・リュウ翻訳:古沢嘉通/幹遙子/大谷真弓 出版社:早川書房 短編なので他の作品の合間に読み、3月から読み始めてもう6月も終わろうとしているなかでようやく読了。最初のころはだいぶ忘れてしまっているため、ざっとめくりながら思い出す。ちょっ…

ノーサイド・ゲーム

著者:池井戸潤出版社:ダイヤモンド社 社会人ラグビーを題材にした安定の池井戸作品。本社から左遷され、素人ながらラグビーチームの再建、本社や協会との確執などを乗り越えるべく主人公の奮闘が描かれる。読んでいて結末はもうだいたい予測がつくし、そん…

もののふの国

著者:天野純希出版社:中央公論新社 螺旋プロジェクトの一冊。平将門や足利尊氏、織田信長、西郷隆盛など歴史上の人物が時代を追って多数登場させ、螺旋プロジェクトの基本ルールである海族と山族の争いを絡めたファンタジックな歴史小説という感じ。スタン…

偶然の聖地

著者:宮内悠介出版社:講談社 試行錯誤しながら読んでいたら時間がかかってしまった。本文を読みながら注釈を読むとリズムが崩れて意味不明となってしまうので章を一気読みして注釈を読みに戻り、注釈を読んでからその前後を読み直す、の繰り返しで落ち着い…

NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ

著者:ジェレミー・ハイマンズ/ヘンリー・ティムズ翻訳:神崎朗子出版社:ダイヤモンド社 従来の中央集権的なアプローチで影響力を行使する「オールドパワー」から、個人やアメーバ型の集団による影響力を行使する「ニューパワー」への移行を実例を挙げて解…

周瑜 「赤壁の戦い」を勝利に導いた呉の知将

著者:菊池道人出版社:PHP研究所 かなり前から積んでいたが、整理していたら出てきたので読みました。三国志は多くの魅力的な人物が登場するが、呉の中ではトップクラスの知名度なので凡そどのような活躍をしてきたかは知っているものの機会があればやはり…

零號琴

著者:飛浩隆出版社:早川書房 特種楽器技芸士と相棒のドタバタSFって表現は単純に過ぎるかもしれないがある意味予想を裏切られた展開だった。「美縟」という惑星の首都で行われる開府五百年祭で想像を絶する巨大楽器の演奏、住民が参加する假劇やら描かれる…

歪み真珠

著者:山尾悠子出版社:筑摩書房(ちくま文庫) 一切無駄のない濃縮された短編集に感想を述べるほどの適切な言葉がなかなか見つけられない自分が歯がゆい。ある状況の断片を描いているだけで小説なのか?と思うものもあるが、著者の紡ぐ美しくて残酷で幻想的な…

麒麟児

著者:冲方丁出版社:KADOKAWA 勝海舟と西郷隆盛により成し遂げられた「江戸無血開城」の息詰まる交渉をメインに二人の人物像を描いている。お互いの立場をわきまえながら、相手を尊重しつつ最善の落としどころを目指す様は緊張の連続。その二人をサポートす…

生き残る判断生き残れない行動

著者:アマンダ・リプリー翻訳:岡真知子出版社:筑摩書房(ちくま文庫) 本作は「9.11」ハリケーン「カトリーナ」など様々な状況で生き残った人たちが「その時」にどのような状況だったのか、何を考えたか、そしてどのように動いたのかを丁寧に取材した記録…

「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか

著者:遠藤誉出版社: PHP研究所 インターネット上の遠藤さんの記事は以前より追いかけているため既知の情報もあるがネットよりも掘り下げて纏めて読むほうが遠藤さんの伝えたいことが伝わって来る。内容的に米中の最先端技術の覇権争いが主軸なので、当然Hua…

シーソーモンスター

著者:伊坂幸太郎出版社:中央公論新社 昭和のバブル期を舞台にした「シーソーモンスター」と近未来のが舞台の「スピンモンスター」の2話収録。作家さん達が競作する螺旋プロジェクトとのこと。「シーソーモンスター」の設定は嫁姑問題を絡ませながらスピード…

ハロー・ワールド

著者:藤井太洋出版社:講談社 自称何でも屋のエンジニア文椎(ふづい)をメインに描かれるほぼ現在と少し先を描くテクノロジー連作短編小説。人との繋がりを重視して信頼できる仲間たちと共にやや熱い正義感で動く文椎が格好よく羨ましい(笑)Amazonのドロ…

カゲロボ

著者:木皿泉出版社:新潮社 児童書のような短編集ように見えるが、人間の持つ毒を描きながら赦しと癒しをも描く連作集となっている。相変わらず普通の言葉で紡がれる物語ではあるが、ちょっと違うテイスト。心の奥にある闇の描写は気持ちのいいものではない…

炯眼に候

著者:木下昌輝出版社:文藝春秋 織田信長を取り巻く人物目線から見た天才織田信長を描く連作集。 サクサクと読み易い割りに合理的に状況を見極め、何手も先を読みながら天下を 目指す信長の凄さが浮き上がる手際は木下さんらしい。 ちょっと信長が凄すぎるけ…

戦後怪奇マンガ史

著者:米沢嘉博出版社:鉄人社 第一部 戦後怪奇マンガ史」「第二部 恐怖マンガの系譜」で構成。書店で見かけて躊躇なく買ってしまった。個人的には知らない作家さんが多いが、膨大な知識を体系化している労作。楳図かずお、日野日出志はもとより諸星大二郎や…

一九八四年[新訳版]

著者:ジョージ・オーウェル翻訳:高橋和久出版社:ハヤカワepi文庫 「民主主義の死に方」を読んだ後にはやっぱりこの作品がいいのではないかと思い、 今更ながら読みました。 ディストピア作品を読むと必ずと言っていいほど、また現在の某大国の状況を伝え…

民主主義の死に方:二極化する政治が招く独裁への道

著者:スティーブン・レビツキー/ダニエル・ジブラットその他:池上彰翻訳:濱野大道 出版社:新潮社 民主主義の崩壊を研究してきた著者がトランプ大統領出現をきっかけにいよいよ警告すべき時期が来たと判断したのだろうか。案外脆弱な民主主義の姿はトラ…

巨大システム 失敗の本質: 「組織の壊滅的失敗」を防ぐたった一つの方法

著者:クリス・クリアフィールド/アンドラーシュ・ティルシック翻訳:櫻井祐子出版社:東洋経済新報社 原発や、金融、医療、複雑化するシステムが密接に関連(密結合)していることで、 わずかなミスがドミノ倒しのようにシステムをメルトダウンさせるとい…

2019年2月の読書リスト

たった2~3日短いだけなのに他月と同じペースで考えてないか?と発注先への不満をここに書いても解決しないのだが、書いてみた。「Q10」の直後に読んだ「リハーサル」。内容のギャップに眩暈が(苦笑)ストーリー展開としては粗さを感じたが、「リカ」シリー…

2019年1月の読書リスト

もう少し読めるかと思ったが、一冊目に時間をかけすぎてしまった。面白かったんだけど、読みはじめるとすぐ眠くなってしまって。まとめてて気づいたけど、高野さん以外は外国人だった。今年は海外ものが増えるのだろうか?「言葉人形」は今年の10冊に入る予…

2018年の15冊

本年もよろしくお願い致します。 2018年の読了数は70冊。分冊でも冊数に数えているので、作品数としては68冊。再読は1冊。長編が多かったので去年より下がったのは残念ですが、まあ良しとしましょうか。その中から2018年の15冊を選びました。いつもの通り順…