吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2010-01-01から1年間の記事一覧

鹿男あをによし --万城目学

ようやく文庫が出たので早速読みました。「マドレーヌ夫人」で気になっていたのでいいタイミングです。ドラマ化された時はあまり面白さを感じなかったので途中で観るのを止めてしまい、一抹の不安があったのですが杞憂に終わりました。大学の研究室で失敗を…

オー!ファーザー --伊坂幸太郎

「やっと会えたね」。。。。。そんな誰かさんの台詞のようにつぶやきたくなるくらい久しぶりの伊坂ワールドです。ここのところの実験的伊坂作品から比べると懐かしい路線ですが、戻ったのではなくてかつて新聞に連載されていた作品の遅れてやってきた単行本…

星新一時代小説集 地の巻 --星新一

「ねずみ小僧次郎吉」「藩医三代記」「かたきの首」「島からの三人」「元禄お犬さわぎ」「厄除け吉兵衛」松本大洋氏がイラストを添えているコラボ第二弾の短編集。「ねずみ小僧次郎吉」 次郎吉がねずみ小僧をはじめた過程と、その名声をあっという間に掠め取…

やんごとなき読者 --アラン・ベネット

児童書のように行間が空いていてそれでいて短くて、読み易いったらない作品ですがさらになんともユーモア溢れるお話で嬉しくなります。英国王室の女王がひょんなことから読書に目覚め、のめりこむことによって振り回されるお付きの人々との間で起きる攻防戦…

虐殺器官 --伊藤計劃

ゼロ年代のSFを読んでみたくて気になっていた作品を読みました。テロとの戦いを繰り広げているアメリカの情報軍、特殊検索群i分遣隊大尉であるクラヴィス・シェパードが大量殺戮に関係していると見られる謎の男、ジョン・ポールを追って紛争地域に潜入する、…

夜更けのエントロピー --ダン・シモンズ

今年の年度末は何時にも増して忙しく、3月は休みを一日も取れませんでしたとさ。花粉症も相まってグダグダなんですがこんな時にこの作品を読んだのはきつかった。。。いや忙しいのは贅沢な悩みかもしれませんけどね。。。今週こそ休みがとれるといいな。はあ…

信長(あるいは戴冠せるアンドロギュヌス) --宇月原晴明

1930年、ベルリン滞在中のアントナン・アルトーの前に現れた日本人青年は、ローマ皇帝ヘリオガバルスと信長の意外なつながりを彼に説いた。そして口伝によれば、信長は両性具有であった、と…。第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。 (本書裏表紙より抜…

TVJ --五十嵐貴久

テレビ局を謎のグループが乗っ取って、人質の一人になった彼氏を婚約者のOLが孤軍奮闘する、という内容。えと、ハッキリ言って突っ込み始めると字数制限に引っかかるくらい突っ込みどころ満載です。OL版「ダイ・ハード」であり、それに村上龍の「半島を出よ…

フレドリック・ブラウン傑作集 --フレドリック・ブラウン

ロバート・ブロック編 星新一訳「闘技場」「イメージ」「事件はなかった」「忠臣」「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」「人形芝居」「黄色の悪魔」「最初の接触」「ジェイシー」「狂った星座」「回答」「ギーゼンスタック一族」「鏡の間で」「ノック」「…

古書の来歴 --ジェラルディン・ブルックス

100年ものあいだ行方が知れなかった「サラエボ・ハガダー」が発見された----連絡を受けた古書鑑定家のハンナは、すぐさまサラエボに向かった。鑑定を行ったハンナは、羊皮紙のあいだに蝶の羽の欠片が挟まっていることに気づく。それを皮切りに、ハガダーは封…

3001年終局への旅 --アーサー・C・クラーク

宇宙の旅もいよいよ終局へ。ついに3001年まで無事?到達いたしました。最後の主役は「フランク・プール」2001年宇宙の旅でディスカバリー号に同乗していたボーマン船長の同僚であり、HALによって殺された宇宙飛行士である。その彼がどうして主役かというと、…

鉄の骨 --池井戸潤

中堅ゼネコンの一松組に入社して三年。富島平太は建設現場から本社の業務課に突然異動させられる。どうやら尾形常務じきじきの指名らしい。業務課は別名「談合課」と呼ばれるセクションでもあるらしい。業務課の仕事を理解していない平太の視点についていく…

グラーグ57(上下) --トム・ロブ・スミス

チャイルド44の続編である。前作はロシアの絶望的な環境がこれでもかと書き込まれ、重苦しさを漂わせながらもグイグイと引き込む力量を見せつけられ、堪能できました。3年後、モスクワ殺人課が創設され責任者に収まったレオが、フルシチョフのスターリン批判…

FBIフーバー長官の呪い --マルク・デュガン

ずいぶん前、ケネディ関連のノンフィクション数冊分をまとめて記事にしましたが、その関連本としてようやく積んであった本書を読むことができました。FBIのフーバー長官といえば、FBIの初代長官であり50年近く長官の椅子を守り続けたとんでもない男ですがケ…

綺譚集 --津原泰水

今月、着々と読み進めていた作品ですが、この作家さんは凄いなあ。独特の妖しさとグロさとエロスは、一気に読むよりじっくりと読む短編集だと思う。唐突に始まり、唐突に終わる。それも考えが及ばない言葉でいきなり違う世界に持っていかれる感覚に翻弄され…

天の光はすべて星 --フレドリック・ブラウン

1997年、人類は星々に対する情熱を失い、宇宙開発計画は長い中断の時期に入っていた。星にとり憑かれた57歳のもと宇宙飛行士マックス・アンドルーズは、そんな世界で無為の日々を過ごしていた。しかし、木星探査計画を公約に立候補した女性上院議員候補の存…

2061年宇宙の旅 --アーサー・C・クラーク

2061年、ヘイウッド・フロイドは高鳴る動悸を抑えきれなかった。75年ぶりに再接近してきたハレー彗星の探査計画への参加を要請されたのだ。最新型のミューオン駆動宇宙船ユニバース号に乗り組みハレー彗星をめざす―そして、みずからの手で彗星を調査する。だ…

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 --万城目学

かのこちゃんは小学一年生の元気な女の子。マドレーヌ夫人は外国語を話す優雅な猫。その毎日は、思いがけない出来事の連続で、不思議や驚きに充ち満ちている。 (「BOOK」データベースより引用) 書店でパラパラとめくった時の第一印象は、「か~るく読めそ…

最後のウィネベーゴ --コニー・ウィリス

愛するものを失う痛みと、滅びゆくものへの哀惜、そして赦し。犬が絶滅してしまった近未来のアメリカで孤独な男が出逢う、ささやかな奇蹟…。読後に深い余韻を残す表題作から抱腹絶倒コメディまで、アメリカSF界の女王ウィリスのベスト・オブ・ザ・ベスト4本…

ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感 --宮下誠

二〇世紀の西洋美術を代表する『ゲルニカ』は、描かれた当時、多くの人に衝撃を与えた。この作品は、一九三七年という、ナチズムやロシア社会主義、フランス、ドイツ、イギリスなどの列強の思惑が交錯し、スペインでは内乱が激化するという、ヨーロッパが不…

13 --古川日出男

古川日出男のデビュー作をようやく読みました。うん、長い!ちょっと長くて疲れました。アラビアの夜の種族も長かったけど、比べると圧倒的にこちらのほうが読みにくい(苦笑) 片方の目だけが色弱で、普通の人とは違う世界を見ることができる主人公の橋本響…

エスケイプ/アブセント --絲山秋子

闘争と潜伏にあけくれ、20年を棒に振った「おれ」。だが人生は、まだたっぷりと残っている。旅先の京都で始まった、長屋の教会での居候暮らし。あやしげな西洋坊主バンジャマンと、遅れすぎた活動家だった「おれ」。そして不在の「あいつ」。あきらめを、祈…

月の骨 --ジョナサン・キャロル

あたしはとっても幸せ。この世でいちばんすてきな旦那さまがいるし、おなかには二人の赤ちゃんも。でも最近、変な夢を見はじめた。ロンデュア、これが夢の世界の名前。あたしとあたしの息子のペプシは、五本の月の骨を探すためにその世界に帰ってきたのだ。…

お好みの本、入荷しました --桜庭一樹

Web上で連載されている読書日記の書籍化第三弾です。今回はめでたく結婚された桜庭さんの結婚前後の話しが含まれているので今までとは少し趣きの違う桜庭一樹の一面も見せてくれました。 それにしてもあいかわらずの読書量には驚きっぱなしだ。一連の読書日…

怪しいシンドバッド --高野秀行

インド、アフリカ、タイ・ビルマ、中国、コロンビアなど、19歳~29歳までに高野氏が秘境、辺境に出かけた際に起きた(起こした?)数々のエピソードをまとめたような作品です。既読作品もあるのですが未読作品に関係する内容も書かれているので読まないと。 …

株価暴落 --池井戸潤

巨大スーパー・一風堂を襲った連続爆破事件。企業テロを示唆する犯行声明に株価は暴落、一風堂の巨額支援要請をめぐって、白水銀行審査部の板東は企画部の二戸と対立する。一方、警視庁の野猿刑事にかかったタレコミ電話で犯人と目された男の父は、一風堂の…

不思議のひと触れ --シオドア・スタージョン

ちゃんと働いて給料をもらい、だれにも憎まれず、それを言うならだれにも好かれない。どこにでもいるそういう平凡な人間に不思議のひと触れが加わると…? 表題作をはじめ、円盤は女になにを話したか?…魅力の結晶「孤独の円盤」、ベスト級のホラー「もうひとり…

2010年宇宙の旅 --アーサー・C・クラーク

2010年、宇宙船アレクセイ・レオーノフ号は地球を旅立とうとしていた。10年前に遥か木星系で宇宙飛行士4人が死亡、1人が失踪した事件を調査し、遺棄された宇宙船ディスカバリー号を回収することがその任務だった。はたして真相は究明されるのか?そして、木星…

未踏の時代 (日本SFを築いた男の回想録) --福島正実

1959年12月、『S‐Fマガジン』が創刊された。初代編集長は福島正実。それまで商業的に成功したことのなかったSFを日本に根づかせるため、彼の八面六臂の活躍がはじまる。アシモフ、クラーク、ハインラインに代表される海外のSF作家を紹介するとともに、小松左…

恋文の技術 --森見登美彦

京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ―。(「BOOK」データベースより引用) 昨年の…